中線共役線(類似中線)


[ 定義 ]
中線の等角共役線を中線共役線(類似中線)という。


[定理1]
中線共役線上の点から、底辺でない2辺へ下ろした垂線の長さの比は、その辺自身の長さの比に等しい。
逆に、点Pから2辺へ下ろした垂線の長さの比が、その辺自身の長さの比に等しければ、Pは中線共役線上の点である。



[証明]
中線をAM, 中線共役線をAM’とし、
中線共役線上の点PからAB, ACへ下ろした垂線の足をD, E,
MからAB, ACへ下ろした垂線の足をD’, E’とする。

AM, AM’は等角共役線よりPD:PE=ME’:MD’…(1)
また、△ABM=△ACMより、高さの比は底辺比の逆比になるから MD’:ME’=AC:AB …(2)
(1), (2) より PD:PE =AB:AC

[逆の証明]
△ABM=△ACMより MD’:ME’=AC:AB
よって PD:PE=AB:AC ならば PD:PE=ME’:MD’ となり、APは中線の等角共役線になる。


[定理2]
∠Aの中線共役線とBCの交点をDとすると、BD:DC=AB2:AC2



[証明]
DからAB, ACに下ろした垂線の足をH, H’とする。



[定理3]
中線共役線は底辺に逆平行な線分を二等分する。



[証明]
中線をAM, 中線共役線をAM’, BCに逆平行な線分をDE, AM’とDEの交点をPとする。

BCとDEは逆平行だから、∠ADE=∠ACB, ∠A共通より △ADE∽△ACB
よってAD:AC=DE:CB …(1)

また、AM, AM’は等角共役線だから、∠DAP=∠CAM. よって△ADP∽△ACM
よってAD:AC=DP:CM …(2)

(1),(2)より
DE:CB=DP:CM ⇔ DE:DP=CB:CM=2:1

ゆえに、PはDEの中点。


[定理4]
△ABCの外接円に対し、B,Cにおいて引いた2本の接線の交点をPとすると、APは∠Aの中線共役線となる。

  
[証明]
接弦定理より∠PBC=∠BAC, ∠PCB=∠BAC
よって、△PBCは二等辺三角形なのでPB=PC …(1)

ABの延長線上に∠ADP=∠PBDとなる点Dをとれば、
△PBDは二等辺三角形なのでPB=PD …(2)
ここで、∠PDB=∠PBD=180゚−(∠ABC+∠PBC)=180゚−(∠ABC+∠BAC)=∠ACB

直線DPとACの延長線との交点をEとすると、
∠PCE=180゚−(∠ACB+∠PCB)=180゚−(∠ACB+∠BAC)=∠ABC
∠PEC=180゚−(∠DAE+∠ADE)=180゚−(∠BAC+∠ACB)=∠ABC
よって、△PCEは二等辺三角形なのでPC=PE …(3)

(1), (2), (3) より PはDEの中点。
またBCとDEは逆平行だから定理3よりAPは∠Aの中線共役線となる。