等角共役線
[ 定義 ]
角の頂点を通る直線ℓ と、角の二等分線に関してℓ と対称な直線ℓ' は互いに等角共役線であるという。
[定理1]
等角共役線上の点P, Qから2辺へ下ろした垂線の足をそれぞれD, E, D’,E’とすると、PD:PE=QE’:QD’が成り立つ。
逆に、点P, Qから2辺へ下ろした垂線の長さが逆比になればP, Qは互いに等角共役線上の点である。
[証明]
□ADPEは円に内接するから∠DPE=180°-∠A …(1), ∠PED=∠PAD …(2)
□AD’QE’は円に内接するから∠D’QE’=180°-∠A …(1)’, ∠QD’E’=∠QAE’ …(2)’
(1), (1)’より∠DPE=∠D’QE’
またAP, AQは等角共役線より∠PAD=∠QAE’ これと(2), (2)’より∠PED =∠QD’E’
よって、△PDE∽△QE’D’より PD:PE=QE’:QD’
[逆の証明]
□ADPEは円に内接するから∠DPE=180°-∠A …(1), ∠PED=∠PAD …(2)
□AD’QE’は円に内接するから∠D’QE’=180°-∠A …(1)’, ∠QD’E’=∠QAE’ …(2)’
(1), (1)’より∠DPE=∠D’QE’だから、PD:PE=QE’:QD’ならば△PDE∽△QE’D’
よって∠PED=∠QD’E’ これと(2), (2)’より∠PAD=∠QAE’
よって、AP, AQは等角共役線
[定理2]
点Pから2辺へ下ろした垂線の足D, Eを結ぶ直線は、APの等角共役線ℓ' と直交する。
[証明]
ℓ' とDE, PEとの交点をそれぞれR, Sとすると、∠RES=∠EAS, ∠ASE共通より△ASE∽△ESR
よって、∠SRE=∠SEA=90°
[定理3]
等角共役線上の点P,Qから2辺へ下ろした垂線の足D, E, D’, E’は同一円周上にあり、その円の中心はPQの中点Mである。
[証明]
∠DD’E’=∠DD’Q-∠QD’E’=90°-∠PED=∠AED
よって、D, E, D’, E’は同一円周上にある。
この円の中心は、DD’, EE’の垂直二等分線の交点であり、
DD’の垂直二等分線は、DD’の中点を通りDP, D’Qに平行であるからPQの中点Mを通り、
EE’の垂直二等分線は、EE’の中点を通りEP, E’Qに平行であるからPQの中点Mを通る。
よって、この円の中心はPQの中点Mである。
[定理4]
三角形の各頂点を通る直線が1点Pで交わるならば、それらの等角共役線もまた1点Qで交わる。
PとQを互いに等角共役点という。
[証明]
AP, BPの等角共役線の交点をQとするとき、CP, CQが等角共役線になることを示せばよい。
PからAB, AC, BCに下ろした垂線の足をD, E, Fとし、
QからAB, AC, BCに下ろした垂線の足をD’, E’, F’とすると、
ゆえに、定理1よりCP, CQは等角共役線になるので、AP, BP, CPの等角共役線は1点Qで交わる。